点滴・注射薬剤のミキシングや投与管理は、看護師が行う重要な業務の一つです。
しかし、2種類以上の薬剤を混合することで、意図しない化学反応が起こり、薬効が低下したり、新たな副作用が出現したりする「配合変化」が起こる可能性があります。
配合変化は、患者さんの生命に関わる重篤な事態を引き起こす可能性があるため、十分な知識と注意を払う必要があります。
この記事では、看護師が知っておくべき配合変化を起こしやすい点滴薬剤についてまとめました。
配合変化が起こりやすい点滴薬剤一覧
臨床でよく使用するので注意が必要な、配合変化を起こしやすい薬剤をまとめました。
薬剤名 | 薬剤の性質 | 配合変化 | 投与方法 |
---|---|---|---|
アレビアチン | アルカリ性 | PHの低下で結晶化 | 単独投与、前後生食フラッシュ |
イントラリポス | 脂肪製剤 | 閉塞しやすい | 単独投与、前後生食フラッシュ |
オメプラール | .強アルカリ性 | 着色、混濁、結晶化 | 単独投与、前後生食か5%ブドウ糖えきでフラッシュ |
セルシン | 水に溶けにくい | 他薬剤と混ざるとセルシンが析出 | 単独投与 |
ソルダクトン | アルカリ性 | 酸性薬剤と混ざると白濁 | 単独静注、前後生食フラッシュ、ラシックスのみ混合可 |
タケプロン | 強アルカリ性 | 投与前後に生食でフラッシュ | |
ドルミカム | 酸性 | アルカリ性薬剤と混ざると白濁 | |
ノルアドレナリン | アルカリ性 | 酸化剤、金属イオンと混ざると白濁 | カテコラミンの混合は可 |
バンコマイシン | 酸性 | 他剤と混合で結晶化 | 単独投与、前後生食化5%ブドウ糖液でフラッシュ |
フェジン | アルカリ性 | 鉄イオンが大量に生じる可能性 | ブドウ糖液で希釈して投与
溶解やフラッシュはブドウ糖液 |
ラシックス | アルカリ性 | 酸性薬剤と混ざると白濁 | 前後生食か5%ブドウ糖液でフラッシュ |
ロセフィン | Ca含有の輸液や薬剤と混ざると結晶化 | ラクテック、エルネオパ、ビーフリード、ソリューゲン不可 |
配合変化を起こす一番多い要因は酸-塩基反応です。
酸性製剤とアルカリ性製剤を混合するとpHの変化で配合変化が起こりやすくなります。
配合変化が起こるメカニズム
配合変化は、薬剤の成分やpH、濃度、温度などの様々な要因が複雑に絡み合って起こります。
- 沈殿: 薬剤が水に溶けずに固まってしまう現象
- 変色: 薬剤の色が変化する現象
- 気体の発生: 薬剤が反応して気体が発生する現象
- 効力低下: 薬効が弱まる現象
配合変化を防ぐための対策
- 薬剤情報誌の活用: 配合禁忌や注意すべき組み合わせについて、最新の情報を常に確認しましょう。
- 薬剤師との連携: 薬剤使用前に薬剤師に相談し、安全な組み合わせを確認しましょう。
- ダブルチェック体制: 他の看護師と協力し、点滴調製の際にダブルチェックを行いましょう。
- 点滴バッグの観察: 点滴バッグに濁りや沈殿、変色などが見られた場合は、使用を中止し、薬剤師に相談しましょう。
まとめ
点滴薬剤の配合変化は、患者さんの安全確保のために、看護師が常に意識しなければならない重要な問題です。
本記事では、配合変化が起こりやすい薬剤や、それを防ぐための対策について解説しました。
看護師一人ひとりが、最新の知識を習得し安全な点滴投与に努めることが大切です。