褥瘡処置に困らない!看護師が知っておくべき軟膏の選び方と使い方

看護師お役立ち情報

褥瘡用に使う軟膏は種類が多いため、使い分けがわからず、どれを選べばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、褥瘡処置に使用する軟膏について、種類や効果、具体的な選び方と使い方を解説します。適切に使用することで、褥瘡の治癒を加速させましょう。

褥瘡治療に使用する軟膏の種類と効果

褥瘡に使用する軟膏は、大きく3つの種類に分類されます。

1. 壊死組織除去作用のある軟膏:壊死組織に使う軟膏はコレ

  • カデキソマー(カデックス®軟膏)
  • タンパク分解酵素(ブロメライン軟膏)

壊死組織を融解・除去し、創傷床の治癒を促進します。

2. 抗菌作用のある軟膏:感染した創に使う軟膏はコレ

  • ヨード系化合物(カデックス®軟膏、ヨードコート®軟膏、ユーパスタコーワ軟膏)
  • 銀を含む軟膏(ゲーベン®クリーム)

感染を抑制し、創傷の治癒を促進します。

3. 肉芽形成・上皮化作用のある軟膏:肉芽形成を促進させたい時に使うのはコレ

  • ワセリン
  • 亜鉛華軟膏
  • ビタミンB群
  • 成長促進因子

肉芽形成や上皮化を促進し、創傷治癒を促進します。

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 褥瘡軟膏の選び方

褥瘡の処置をする際に使用する軟膏の選ぶポイントを解説します!

滲出液多い 滲出液少ない
壊死組織あり
  • カデックス
  • イシジンシュガー、ユーパスタ
  • ブロメライン
  • ゲーベン
感染あり
  • カデックス
  • イソジンシュガー、ユーパスタ
  • ヨードコート
  • ゲーベン
ポケットあり
  • イソジンシュガー、ユーパスタ
  • フィブラストスプレー
赤色肉芽
  • アクトシン
  • イソジンシュガー、ユーパスタ
  • プロスタンディン
  • フィブラストスプレー

褥瘡のステージ

  • 壊死組織が多い場合は、壊死組織除去作用のある軟膏
  • 感染徴候がある場合は、抗菌作用のある軟膏
  • 肉芽形成や上皮化が遅い場合は、肉芽形成・上皮化作用のある軟膏

滲出液の量

  • 滲出液が多い場合は、水溶性基剤の軟膏
  • 滲出液が少ない場合は、油脂性基剤の軟膏

患部の状態

  • 乾燥している場合は、保湿作用のある軟膏
  • 痛みがある場合は、鎮痛作用のある軟膏

患者さんのアレルギー

患者のアレルギー歴を確認し、それに基づいて軟膏を選びます。ヨードアレルギーがある場合は、ヨード系化合物(カデックス®軟膏、ヨードコート®軟膏、ユーパスタコーワ軟膏)は使用できません。

 

褥瘡処置に使う軟膏

褥瘡処置に使う代表的な外用薬を解説します。

アズノール

  • 抗炎症作用、抗アレルギー作用
  • 創傷治癒促進、保護作用
  • 滲出液が多い場合、浮腫がある創には不向き

 

ゲーベン

  • 銀による抗菌作用
  • 保水効果で乾燥した壊死組織を柔らかくし、除去しやすくする。
  • 滲出液が多い創には不向き

黒色壊死組織が多い褥瘡、壊死組織あり・滲出液少なめ・感染コントロールしたい時に使用します。

 

プロスタンディン

  • 病変局所の循環障害を改善、血管新生により肉芽形成と上皮化を促進する。
  • 血流を促進するので出血している創には禁忌
  • 使用量(1日10g以下)を守る。

 

イソジンシュガー、ユーパスタ

  • ヨウ素による殺菌作用(ヨードアレルギーに注意)
  • 白糖の吸水作用で創の浮腫軽減
  • 創部の過度な乾燥に注意

滲出液多め、殺菌が必要な時に使用する。

 

カデックス

  • 持続的な抗菌効果(ヨードアレルギーに注意)
  • 吸水作用
  • 潰瘍治癒を促進させる

 

ブロメライン

  • 柔らかい水分のある壊死組織除去作用
  • 滲出液で作用するため、乾燥した黒色壊死組織には向かない。
正常な皮膚までタンパク分解されてしまうため、塗布前に周りの正常な部分はワセリンで保護しておく必要があります。

 

フィブラストスプレー

  • 肉芽形成促進、血管新生作用
  • 5cm以下の潰瘍に5噴射が目安
  • 10℃以下で冷蔵保存する
  • 使用期限は開封後2週間

 

ワセリン

発赤など軽い褥瘡の場合に、第一選択として使うことが多い。

 

亜鉛華軟膏

  • 創面を保護、表皮形成促進
  • 滲出液が多い場合は不向き

発赤・水疱〜びらん・浅い潰瘍に使用します。

 

褥瘡部への軟膏の塗り方

褥瘡処置のポイントについて解説します。

1.患部を微温湯で洗浄し、乾燥させる

塗ってあった軟膏が残っていないように、しっかり洗浄します。古い軟膏が残っていると感染源になってしまいます。ポケットで洗いにくい場所は、綿棒などを使用して古い軟膏を除去します。

 

2.軟膏を患部に塗布する

ヘラや舌圧子などを使い、軟膏を褥瘡患部に塗布します。ポケットがある場合は、軟膏をポケット部に充填します。

 

3.ガーゼやドレッシング材で患部を保護する

  • 滲出液が多くない場合:ガーゼ+フィルム保護 など
  • 滲出液が多い場合:メロリンガーぜや穴あきビニールを使用する
洗浄・軟膏処置は1日1〜2回、医師の指示に従って実施します。
N主任
N主任

 

まとめ

褥瘡処置に使う軟膏について解説してきましたが、褥瘡治療の基本3本柱は「除圧」「栄養」「創処置」です。どれがかけても治療は功を奏しません。褥瘡を治癒させるには時間がかかりますが、正しい知識と手間暇をかけてケアしていきましょうね。

 

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