最も基本的な看護技術「採血」ですが、なんとなくの知識でやっていませんか?複数本採血する場合のスピッツの順番は守れていますか?
スピッツの順番を間違えると採血データに影響が出てしまう可能性があります。正確な血液データを得るために、正しい順番を理解しましょう。
この記事では、採血する時の正しいスピッツの順番とその理由についてまとめました。
採血する時のスピッツの正しい順番
スピッツの順番は何を使って採血するかによって違います。
シリンジで採血し、分注する場合
- 凝固
- 赤沈
- ヘパリン入り採血管
- 血算(EDTA入り)
- 血糖(解糖阻害剤入り)
- 生化学
- その他
- *一般的によく使用するスピッツを太字で表示しています
翼状針+ホルダー or 真空管 で採血する場合
- 生化学
- 凝固
- 赤沈
- ヘパリン入り採血管
- 血算(EDTA入り)
- 血糖(解糖阻害剤入り)
- その他
シリンジで採血し後から分注する場合と、ホルダーを使ってダイレクトにスピッツに採血する場合とでは、最初に採るべきスピッツが違います。その理由について、下記で解説していきます。
スピッツの順番を考えて採血する理由
なぜそうするのか、理由を理解していれば順番を覚えやすく、間違えることはないかと思います。
採血の大原則は、
- 血液が凝固してはいけないスピッツは急いで入れる
- 最初に出てくる血液は凝固しやすい(穿刺した時の組織液が混じっているため)
- 凝固スピッツと血沈スピッツは量が重要
シリンジ採血の順番の理由
血液はシリンジ内で混和されるので穿刺時に混じる組織液の影響は考慮されなくなります。また、シリンジ採血は各スピッツに分注するのに時間がかかります。そのため、血液が凝固してはいけないスピッツ(凝固)から入れ始め、血液が凝固してもデータに影響が出ないスピッツ(生化)の順に血液を入れていきます。
翼状針+ホルダー or 真空管 で採血する場合の順番の理由
穿刺したすぐの血液には、皮下組織が損傷した時に出る組織液が混じります。この組織液は血液を凝固させる作用があるため、凝固してもデータに影響が少ない生化学のスピッツから採ります。(*生化学のスピッツにはもともと凝固促進剤が入っています)
また、翼状針を使う場合、最初に採るスピッツには翼状針のチューブ部分の空気が入ります。そのため、採血量に規定がある凝固スピッツを最初に採ってしまうと採血量が足りなくなってしまいます。凝固スピッツは必ずラインのところまで血を入れる必要があります。
*翼状針のチューブのデッドスペースは0.45ml程あります
まとめ
採血の方法によって、スピッツの順番は異なります。
シリンジ採血の場合は凝固スピッツを1番に、ホルダー採血の場合は生化学スピッツを1番に採ることがポイントです。