この記事では、褥瘡などの創処置に使うドレッシング剤(創傷被覆剤)の選び方について解説しています。
ドレッシング剤一覧
臨床でよく使用される被覆剤についてまとめました。
製品名 | 適応 | |
ポリウレタンフィルム |
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発赤、水疱
摩擦の予防 |
ハイドロコロイド |
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浸出液少なめの創
湿潤環境を保ち治癒促進 |
ハイドロジェル |
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乾燥傾向の創
壊死組織を軟化させる |
ポリウレタンフォーム |
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浸出液多めの創
肌に優しく、痛み軽減 |
銀含有ハイドロファイバー |
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浸出液多めの層
感染創に効果的 |
アルギン酸塩 |
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浸出液多めの創
止血効果がある |
以下の項目で、一つ一つのドレッシング剤について、詳しく解説していきます。
ポリウレタンフィルム
製品名:オプサイト テガダーム パーミロール、エアウォール
ポリウレタンフィルムの適応
発赤、水疱の保護、上皮形成期以降の浸出液が極めて少ない創
ポリウレタンフィルムの特徴
- 創の浸出液による湿潤環境維持
- 創面の保護
- 透明で創部が観察しやすい
ハイドロコロイド
商品名:デュオアクティブET
ハイドロコロイドの適応
肉芽形成期以降の浸出液の少ない創、真皮〜皮下組織までの皮膚欠損
ハイドロコロイドの特徴
- 創の浸出液をゲル化する
- 創面閉鎖・湿潤環境を保つ
- 粘着性があり貼付しやすい
ハイドロジェル
製品名:イントラサイトジェル ビューゲル
ハイドロジェルの適応
浸出液の少ない創 乾燥傾向の創
ハイドロジェルの特徴
- 創に水分を与えて湿潤環境を作る
- 湿潤環境の維持が可能
- 乾燥した創の湿潤を保つ
- 水分量が多く冷却作用がある
- 自己融解促進効果があり、壊死組織の除去が可能
ポリウレタンフォーム
商品名:ハイドロサイト
ポリウレタンフォームの適応
肉芽形成期〜上皮形成期の創 真皮〜筋層・骨に達する創 ポケットのある創
ポリウレタンフォームの特徴
- フォームに連続する小腔があり、毛細管現象で水分を小腔に吸い込む
- ハイドロコロイドより吸収性がある
- 創が浸軟状態になりにくい
- バクテリアバリア性
銀含有ハイドロファイバー
製品名:アクアセルAg アルジサイトAg
銀含有ハイドロファーバーの適応
浸出液が中等〜多量の創 創周囲が浸軟している 感染が疑われる創
銀含有ハイドロファーバーの特徴
- 自重の25倍の吸収性がある
- 浸出液吸収時にゲル化し、浸出液をゲル内部に保持する
- Agによる抗菌作用がある
アルギン酸塩
製品名:カルトスタット
アルギン酸塩の適応
浸出液が多めの創 出血がある創 切開直後の褥瘡 ポケットある創
アルギン酸塩の特徴
- 止血効果がある
- 線状の形状で浸出液を吸収しやすい
在宅患者さんにおける創傷被覆剤の処方について
2014年以降、在宅患者さんにおけるハイドロサイトなどの創傷被覆剤は、保険適応で処方可能になりました。
創傷被覆剤処方が保険適応となる条件
重度褥瘡であり、在宅療養指導管理料を算定していること。
*皮下組織に至る褥瘡(DESIGN-R分類:D3 D4 D5)
創傷被覆剤の供給方法
創傷被覆剤を処方する場合の供給方法には2つの方法があります
- 訪問医の医療施設から供給
- 院外処方箋で処方
いずれも原則3週間分としていますが、3週間以上必要な場合は理由を記入することで供給できます。
保険適応で処方できるようになって、ずいぶん楽になりました!
N主任