この記事ではGI療法の行い方と看護のポイントについて解説します。
緊急で行う場合や久しぶりに行う場合は、どういう風にやるんだったかな?と焦ってしまう方も多いでしょう。しっかり復習しておきましょう。
GI療法とはどんな治療法か?
GI療法とは、グルコース・インスリン療法の略で、K(カリウム)を下げるための治療です。
高K血症(5.5mEq/L以上)になると、動悸や吐き気、筋力低下などの症状が起こり、7.0mEq/L以上になるとVFや徐脈など致死性不整脈を起こす危険性があります。
GI療法の適応
K値が6.5mEq/Lを上回る、中〜高等度の高K血症の患者さん
GI療法の作用機序|なぜカリウムが下がるのか?
インスリンは、血中のブドウ糖を細胞内に取り込んで血糖を下げる過程で、Kも一緒に細胞内に取り込みます。
GI療法は、インスリンを用いて、血清Kを血管内から細胞内に移動させることで血清Kの濃度を低下させます。
K低下の効果発現は、約15〜20分で起こります。
インスリンを投与することによる低血糖を防ぐため、ブドウ糖(グルコース)も一緒に投与します。
GI療法の行い方
GI療法の実際について解説します。
GI療法の組成例
点滴オーダーの例です。各施設のガイドラインに従ってください。
急速静注を行う場合
- 50%ブドウ糖50ml+ヒューマリンR10単位
持続点滴で行う場合
- 5%ブドウ糖500ml+ヒューマリンR10単位
- 10%ブドウ糖250ml+ヒューマリンR10単位
GI療法の投与方法
輸液ポンプを使用し、滴下速度は厳密に管理します。
滴下時間や流量は主治医の指示に従います。
GI療法は抹消の静脈点滴からだけではなく、CV(中心静脈)から投与することもできます。
(高濃度のブドウ糖を使用する場合はCVからの方が静脈炎のリスクが減ります。)
GI療法の看護・注意点
GI療法を行う患者さんの看護を行う際は、高K血症の症状と低血糖に注意します。
GI療法中の観察項目
点滴速度の確認
滴下速度は重要なので、毎度確認しましょう。
血管痛の有無
グルコースは浸透圧が高いので血管痛や静脈炎を起こす可能性があります。
心電図
- 高K血症の時…尖ったT派(テント上T波)、P波消失、QRS延長
- 低K血症の時…ST低下、T波平坦化、U波増高
カリウム値変動に伴う心電図変化に注意します。
血糖値
1時間毎など定期的に血糖測定を行い、血糖値のチェックを行います。
低血糖症状の有無
低血糖時の症状には、動機・手足の振戦・冷汗・頻脈・意識障害などがあります。
その他の高K血症の治療法
高K血症の治療はGI療法の他に、
- カルチコール投与
- フロセミド投与
- ラクツロース投与
- ケイキサレート投与
- 血液透析
などがあります。
緊急度や病状によって治療法が選択されています。
まとめ
GI療法はあくまで一時しのぎの治療になるので、高K血症の危険な症状に注意をし、K値コントロールを行っていきましょう。