人工呼吸器を使用する患者さんの管理・看護のポイント

この記事では、人工呼吸器使用中の患者さんの管理や看護のポイントについて解説しています。

患者さんを受け持つ前に確認しておきましょう。

 

人工呼吸器の管理

人工呼吸器を使用するにあたって必要なものは以下のとおりです。

必要物品
人工呼吸器本体、回路、非常用電源、配管、ジャクソンリース、挿管チューブや気管カニューレ、カフ圧計、バイトブロック、吸引器、吸引物品、加湿用蒸留水、聴診器、口腔ケア物品

緊急時にも対応できるよう、ジャクソンリースや交換用の回路・挿管チューブ類は備えておく必要があります。

 

人工呼吸器使用中の管理の仕方

人工呼吸器作動中は、定期的に点検や確認を行います。

点検項目や観察項目はチェックリストを作成し管理するのが良いでしょう。

 

人工呼吸器使用中の観察項目

人工呼吸器使用中の観察項目とポイントについて、機械側と患者さんにわけてまとめました。

人工呼吸器の確認項目

定期的に行う人工呼吸器の点検と確認項目をまとめました。

本体 コンセントの接続、配管の接続、外観に異常はないか
回路 緩み・ねじれ・屈曲がないか
挿管チューブ(気管カニューレ) 何センチ固定か、カフ圧
設定 モード、Fio2、PEEP、PS、PC、RR、吸気時間、TV、トリガー
アラーム設定 気道内圧上限、気道内圧下限、分時換気量上限、分時換気量下限、呼吸回数上限、呼吸回数下限、無呼吸

 

患者さんの観察項目

患者さんの観察項目についてまとめました。

観察項目 詳細
意識レベル レベル、鎮静の深さ
表情 苦痛表情はないか
バイタルサイン BP HT SPO2 BT
呼吸回数 頻呼吸・無呼吸ではないか、呼吸器と同調しているか
呼吸音・胸郭の動き 左右差がないか・無気肺がないか
喀痰 痰の貯留はないか
実測値 呼吸回数 TV(1回換気量)、MV、PIP、PEEP、FiO2

 

人工呼吸器のアラームと対応

人工呼吸器のアラームは、命に繋がることもある重要な警告です。

アラームの原因は患者さん側なのか?機械側なのか?即座に検索し対応しなければいけません。

人工呼吸器のアラームが鳴った原因を探す

アラーム対応では、アラームが何かとその原因を探し対処する必要があります。

患者さん側の要因

  • 呼吸状態、SPO2値に変化はないか
  • バイタルサインに変化はないか
  • 意識レベルに変化はないか
  • 症状や表情に変化はないか

呼吸器側の要因

  • 設定条件で正常に動いているか
  • 回路にリークや破損はないか
  • 作動不良アラームはないか
  • 電源や配管は繋がっているか

人工呼吸器の重要なアラーム

特に重要なアラームについて解説します。

  • 分時換気量下限アラーム
  • 気道内圧低下アラーム
  • 気道内圧上昇アラーム

分時換気量下限アラーム、気道内圧低下アラームの原因

分時換気量下限アラーム、気道内圧低下アラーム時の原因と対応をまとめました。

原因 対応
患者さん側 カフリーク カフ圧の調整
自発呼吸の低下、無呼吸、1回換気量の低下 設定変更
機械側 回路外れ、回路の破損 接続確認、カイロ交換
アラーム設定不良 設定変更

 

気道内圧上昇アラームの原因

気道内圧上昇アラーム時の原因と対応をまとめました。

原因 対応
患者さん側 気道内分泌による気道閉塞 吸引、チューブ交換
バッキング、ファイティング 設定変更、苦痛の緩和
機械側 回路の閉塞、回路の折れ曲がり 回路を直す
人工鼻の閉塞 人工鼻交換

 

人工呼吸器関連の用語

人工呼吸器に関連してよく使われる用語をまとめました。

用語 意味 詳細
TV(タイダル ボリューム) 1回換気量 正常値7~9ml/kg(約500ml)
MV 分時換気量 1分間で換気したガスの量
PEEP(ピープ) 呼気終末期陽圧 呼気終末陽圧
FiO2 吸入酸素濃度  吸入ガスに含まれる酸素濃度 空気はFiO2:0.21
ETCO2 呼気終末二酸化炭素濃度 ちゃんと換気が行えているかを判断する指標

自発呼吸下での正常値:35~45mmHg