【下剤の使い分け大丈夫?】看護師が知っておくべき種類と使用方法

看護師お役立ち情報

この記事では、看護師が知っておくべき下剤の種類、作用、患者さんへの選択と使い方について詳しく解説します。近年増えている新しい下剤についても解説しています。

下剤について理解を深め、患者さんに最適なケアを提供することで、便秘解消のお手伝いをしましょう。

 

下剤の種類と作用

下剤には、刺激性下剤、浸透性下剤、坐薬など様々な種類があります。それぞれの種類によって、作用機序、適応、副作用が異なります。

刺激性下剤

大腸を直接刺激して蠕動運動を促進する下剤です。効果が速いですが、腹痛や下痢などの副作用が起こりやすいので、注意が必要です。

  • 適応: 急性の便秘、手術後の便秘など
  • 副作用: 腹痛、下痢、脱水症状

センノシド(プルゼニド、アローゼン)

ピコスルファート(ラキソベロン)

浸透性下剤

大腸内に水分を保持し、便を柔らかくする下剤です。効果が遅いですが、比較的副作用が少ないので、長期的な使用に適しています。

  • 適応: 慢性便秘、高齢者の便秘など
  • 副作用: 腹痛、下痢、電解質異常
酸化マグネシウム

 

坐薬、浣腸

肛門から挿入する下剤です。すぐに効果が現れるので、今すぐ出したい時に使用されます。

  • 適応: 急性の便秘、手術後の便秘、直腸性便秘(排便反射が弱い)など
  • 副作用: 腹痛、下痢、肛門刺激感

レシカルボン坐薬:腸内で炭酸ガスを発生させ、腸蠕動を促す。

グリセリン浣腸:腸壁から水分を引き寄せ、水分と浣腸液とで便を柔らかくする。また、腸壁に刺激を与え蠕動を促す。

 

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慢性便秘の新薬〜下剤の種類と使い方〜

近年、新しい下剤が増えています。特徴についてまとめました。

アミティーザ

  • 分類:上皮機能変容薬
  • 小腸に働くことで、水分分泌を促し便を柔らかくしてくれる。小腸に作用するため、下痢になりにくい。
  • 1日2回食後に内服する。(朝食後・夕食後)
  • 作用発言時間:24時間以内

 

リンゼス

  • 分類:上皮機能変容薬
  • 小腸に働くことで、水分分泌を促し便を柔らかくしてくれる。
  • 1日1回食前に内服する、食後に内服すると下痢になりやすい。
  • 作用発現時間:3〜6時間

 

グーフィス

  • 分類:胆汁性トランスポーター阻害薬
  • 胆汁酸の再吸収を抑え、大腸の水分分泌と腸管運動を促してくれる
  • 1日1回食前に内服する。5〜6時間で効果が出る。

 

モビコール

  • 分類:浸透圧性下剤
  • 水分を含んだ腸管で吸収されない製剤を飲むことで、便に水分が含まれて柔らかくなる。ニフレックとほぼ同じ。ゆっくり作用するため下痢や腹痛などの副作用が出にくい
  • 1日1〜3回服用する。
  • 1袋に対し60mlの水分に溶かして服用する。ジュースやココア、汁物などで溶かしても良いため、子供でも飲みやすい。上限6袋までで、適宜調整していく。

 

各下剤の作用発現時間と内服の仕方

各下剤の作用発現時間と内服の仕方についてまとめました。

薬剤名 作用発現時間 内服の仕方
浸透圧性 酸化マグネシウム 1日1〜3回
モビコール 1日1〜3回
上皮機能変容薬 アミティーザ 24時間以内 1日2回食後
リンゼス 3〜6時間 1日1回食前
刺激性 センノシド(プルゼニド) 8〜10時間 眠前
アローゼン顆粒 8〜10時間 1日2回
ピコスルファート 7〜10時間 眠前
胆汁性トランスポーター阻害薬 グーフィス 5時間 1日1回食前
坐薬 レシカルボン坐剤 直腸挿入後15〜30分 出したい時
浣腸 グリセリン浣腸 直腸挿入後15〜30分 出したい時

 

下剤の主な使い分け

便秘の状態による代表的な下剤の使い分けについて説明します。

便が硬い

酸化マグネシウム(腎機能が問題ない)、アミティーザ(腎機能が悪い)

便が硬い場合は浸透圧性の下剤を用い、便に水分を持たせて柔らかくします。腎機能に問題なければ酸化マグネシウムを、腎機能が悪ければアミティーザを使用します。

 

腸の動きが鈍い

センノシド、ピコスルファート

腸の動きが悪い場合は刺激性の下剤を用いて、蠕動活動を促します。

 

効きすぎを抑えたい

モビコール

モビコールはゆっくり効く下剤のため、ほぼ副作用がなく子供でも使用できます。

 

今出したい

レシカルボン坐剤、グリセリン浣腸

直腸まで便が下りてきており、今すぐ出したい場合は、レシカルボン坐剤やグリセリン浣腸を使って排便を促します。

 

まとめ

高齢者の多くは便秘を抱えており、排便コントロールの援助は病棟や訪問看護師、施設看護師の重要な役目となります。排便習慣や下剤の効き方は人それぞれであり、飲んでも思うように出ない場合も多くあります。下剤の使用頻度や使用量は排便状況を見ながら患者さんと相談して試していき、その人に合った使い方が見つかるよう調整していく必要があります。

 

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