【看護師向け】PET検査を詳しく解説!FDG・検査の仕組みを理解しよう

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この記事では、看護師向けにPET検査の仕組みや注意事項について詳しく解説します。正しく理解して患者さんに説明できるようになりましょう。

PET検査の仕組み

PET検査はFDGという放射線薬剤の検査薬を用いて行われるため、放射線管理区域で行われます。

FDG (18F-フルオロデオキシグルコース)とは、ブドウ糖の一部構造をフッ素18(放射性物質)に置き換えたものです。FDGを静注し、体内に巡るのを待ってから撮影を行います。

腫瘍や炎症部位はエネルギー(糖分)を多く必要とするため、FDGも他の細胞より多く取り込みます。→腫瘍や炎症部分にはFDGが多く集積されるため、その様子を撮影します。

がん患者さんが癌の有無や転移がないかの全身精査で使われる他、人間ドッグでがん検診として行っているところもあります。

FDGを投与すると、しばらく患者さん自体から放射線が出る状況となります。

PET検査の流れ

検査前は絶食なぜ?

  • 血糖値が高いと画像が不良となるため、検査6時間前から絶食(糖分を含む飲料も×)とします。*施設によって多少の違いあり。

体重測定

  • FDGの投与量は体重によって換算されます。

穿刺

  • FDGを投与するルートは単回使用が原則です。(針やルートが放射性廃棄物となるため)
  • 万が一血管から漏れると、皮下にFDGが溜まり画像が不良となったり、体内にFDGが十分量投与されないため、確実なルートキープが必要です。

血糖値測定

  • 穿刺した際に血液を少量採取して、血糖測定を行います。血糖値が高いと画像に影響するため、検査が延期となることもあります。

FDGの投与

  • 投与は機械で行います。体重を入力し、機械が体重換算した量のFDGを組み上げて投与されます。
  • 投与中は患者さんが見える範囲で、距離をとって待機することで職業被曝を抑えます。万が一、穿刺部やルート接続部でFDG漏れがあった場合は、緊急停止を行えるようにします。

抜針、止血

  • 使用した針、ルート、血の付いた消毒綿などは全て放射性廃棄物となります。
  • FDG投与直後の患者さんからは特に多くの放射線が出ているため、医療者は必要以上に近づかないように注意します。
  • 止血は、患者さん自身で圧迫してもらうか、止血バンドを用いて確実に止血を行います。(看護師が用手圧迫すると、多量に被曝するため避ける)
  • 止血不十分で流血すると、穿刺部周囲の皮膚や衣服に放射性薬剤が付着するため、検査に影響する可能性があります。

 

60分安静(PET-CTの場合) 

  • 安静中も水分摂取を促し、投与したFDGが体内を回るのを待ちます。
  • この時間にスマホを見たり音楽を聞いたりすると、使う臓器(目、耳、脳、持っている手など)にFDGが集積してしまうため、できる限りの安静をお願いします。

撮影前にトイレで排尿

  • FDGは尿として排泄されるため、撮影前に膀胱に溜まった尿(FDG)を出すことで膀胱周囲の画像が見やすくなります。
  • オムツや尿取りバッドを使用している患者さんは交換が必要です。オムツや尿取りパッドにFDG入りの尿が付着していると画像に写ってしまうからです。

撮影(20-30分程度)

  • 途中息止めの指示があるため、患者さんに協力を促します。

全ての工程が終わるまで、管理区域からは出られません。撮影が終わり管理区域から出る頃には、FDGは半減期を迎えているため患者さんから出る放射線量はだいぶ減っている状態です。

 

PET検査の注意事項

PET検査にまつわる注意事項をまとめました。

検査後も水分摂取を促す

FDGは尿として排泄されます。FDGは時間経過ともに放射線量が減衰していきますが、飲水を促し早く尿として体外に出すことで被ばく軽減につながります。

職業被ばくを抑える

職業被ばくを抑える基本は3原則の距離・遮蔽・時間ですが、FDGはX線ではなくβ線であり線量が多いため、カテ室などで着ている鉛のプロテクターでは遮蔽できません。距離をとる、分厚い壁を挟んだところで待機する、接する時間を短くするなどの対応が必要です。

 

FDGの半減期、減衰時間

患者さんから出る放射線量は2時間で半分(半減期)4時間後に1/4 に減衰し、検査後8〜12時間で0になります。

小さいお子さん(12歳以下)がいる場合は、この期間に肌が接する程の距離感は控える必要があります。同じ部屋で過ごす分には問題ありません。

 

PET検査に関するQ&A

PET検査にまつわる質問をまとめました。

被曝を心配する患者さんにどう対応したら良いか?

検査による被曝量は0ではないが、問題となる量ではないため健康リスクを過度に心配する必要はない。喫煙や肥満、多量な飲酒をしている方がよほど発癌リスクが高いと説明しています。患者さんが若年である場合等には、投与量を減らすこともあるが、医師の判断によります。

FDGに造影剤のような副作用はあるか?

FDGはブドウ糖に近く、身体に必要な成分からできているので基本的には健康に害が出ることはありません。

PET検査後の制限はあるか?

検査後の食事制限や活動制限は特にありません。水分摂取を促し、FDGの排泄を促すよう説明を行います。

万が一FDGが投与中に漏れてしまったら?

漏れた量やタイミングによっても対応が異なる。

線量計で体内に入ったFDG量を計測し、十分量入っていれば再投与の必要はない。

体内に十分量入っていない場合は、再投与が必要となる。ただし、再投与に必要なFDG量がない場合は、検査を改める必要がある。FDGは時間とともに減衰するため、検査時間が遅いと量が足りなくなる場合がある。また、FDGは高価なため、再投与等のエラーは防がなければいけない。