膀胱留置カテーテルを入れている患者さんのチューブや採尿バッグが紫色になっていて、驚いたことはありませんか?これは「紫色尿バッグ症候群」といわれるものです。
この記事では、紫色になる原因と、対処方法について解説します。
バルーンカテーテルや排尿バッグが紫色に染まる原因
膀胱留置カテーテルを長期に留置している患者さんで、慢性便秘症と尿路感染を合併している場合、チューブやバッグが紫色に染まることがあります。これを「紫色尿バッグ症候群」と言います。尿路感染が多いという観点から、女性に多くみられます。尿自体が紫色になるわけではありません。
チューブや採尿バッグが紫色になる機序
- 慢性の便秘により、糞便が腸内に長期間溜まり腐敗・発酵が進むと、腸内細菌が増加します。過度に増殖した細菌により、糞便内のトリプトファン(アミノ酸の一つ)がインドールに分解されます。
- インドールは腸で吸収され、肝臓でインジカンに分解されて、尿中に排泄されます。
便秘症の人は、腸内細菌の増殖によりインジカンが多量に尿に排泄される。
3. 尿中のインジカンが排尿バッグ内に溜まり、尿路感染を起こす様々な細菌に分 解されることによって、インジコ(青色)とインジルビン(赤色)が生じます。
4. これらは水に溶けないので、バルーンチューブとバッグは青と赤が混ざった色=紫色に染まります。オムツや排尿パッドでも同様のことが起こりえます。
紫色尿バッグ症候群の治療は?
紫色バッグ症候群が起こっても、基本的に発熱等の症状がなければ治療対象とはならず、抗菌薬を使用する必要はないとされています。
紫色バッグ症候群を予防するために
紫色バッグ症候群を起こさないよう予防する方法は以下の通りです。
- 膀胱留置カテーテルの長期留置を避ける(交換頻度を見直す)
- 尿バッグは1ヶ月に1度は交換する
- 便秘解消のため、排便コントロールを行う
- 飲水を促し、十分な量の排尿を確保することで膀胱内の細菌を減らす
基本的に発熱等の症状がなければ、紫色バッグ症候群は悪い病気ではありませんが、水分摂取を促し便秘解消に努めるよう看護していく必要があります。
N主任